「経済大国ニッポン」が生む「女性の貧困大国」

和光大学教授・ジャーナリストの竹信美恵子さんをお呼びしてお話を聞きました。

2014年度のジェンダー指数ギャップ指数は142か国中104位です。賃金格差、意思決定の参加度の格差、高校教育の格差などです。その他単身女性の3人に1人は貧困、単身女性高齢者の4割以上、19歳以下の子どもがいるシングルマザーの5割以上が貧困であり、働く女性の57%が非正規です。

この状況を客観的に見て皆さんはどのように感じますでしょうか。

竹信さんがおっしゃっている「家事ハラ」を知っていますか?
家事労働を蔑視・排除することですることで女性の貧困と男性の過労死生み出す社会構造をによる嫌がらせであるとしています。

福祉は家庭で女性がやるもの、男性が家族分を外で稼いでくることを前提としている福祉政策、緩い労働時間規制のための長時間労働、夫に扶養されているから安くて不安定でもいいという女性の考え方の為に非正規の低処遇の放置と蔓延がされました。
そのため子どもがいるとお金がきつくなることで少子化が進展します。
非正規が男性にも及ぶことで貧困で子どもが生めなくなる、夫婦で働いても貧困から脱出できない、また、低所得の妻を「養う」ために夫が死ぬまで働かなくてはならない仕組みが出来上がってしまったのです。

そのうえ労働政策は世界から出遅れ、いまだに女性の貧困を固定化し、かつ生活保障は弱く、男性による生活保障は喪失しつつあります。

そんな中でアベノミクスでの女性の活躍という政策が打ち出されました。
女性の活躍が経済活動まで関わることについて認識が広まったことについてはプラスの作用を起こしました。
「高度プロフェッショナル制度」一定条件の働き手(年収1075万以上の専門的業務)を労働時間八時間制度から外し、欧州型休息時間を採用しましたが実質的労働時間が増えてしまったという課題があります。
女性活躍推進法には必須項目に賃金の記載はなく目標は企業任せ、中小企業は後回しにされ、派遣は対象外。何のための、どこで活躍するのかまったくもって明確ではありません。しかしそれと引き換えのように福祉のはく奪が行われています。生活保護基準の引き下げ、介護報酬の引き下げ、保育民営化、定員の引き上げなどの基準の切り下げが進んでしまいました。また、特区での外国人家事支援人材による介護と保育の在宅化で自己責任が大きくなり、人材ビジネスの利権化に拍車がかかります。
活躍のみに視点が当たり、貧困の問題への対策が弱くなっています。男性のように働き、女性のように家事育児を負担し、働かなくては極端な低賃金と不安定労働になってしまいます。

このようにたくさんの課題がありますが、いずれも福祉の社会化や働き方の見直し、家事労働の行政・企業・公正な負担と再分配の必要性、最低賃金の引き上げであったり、女性同士の、情報交換組織の組み立てや、再分配の仕組みの見直しなど(会社さえ豊かになれば男性に賃金が流れ女性も豊かになるというウソ)様々な改革が必要であろうと考えられます。

私たち一人ひとりが幸せに暮らしていくためにも働き方の改革は必須であり、やらなくてはいけないことです。
これからも勉強を続け、国だけにならず市にも政策提案ができるようにならなければと思っています。労働問題についても引き続き質問を行っていきたいと思います。