昭島市学校給食共同調理場について

昭島市は今回の一般会計補正予算第七号で、昭島市学校給食共同調理場第一調理室の調理業務を委託する為に、令和3年から令和7年度までの5年間、債務負担行為で5億2千万円を計上しました。私たちみらいネットワーク会派では、この提案については反対とさせていただきました。反対討論の内容に付け加え、反対した理由をお伝えします。

なぜ反対の立場をとったかと言うと、私たちの考える情報公開、市民参画が全くされなかったと言う事が理由です。みらいネットワーク会派では、民間委託に全て反対という立場ではありません。しかしながらあまりにも短期間で、市民への説明もなく民間委託へ踏み切ったことは非常に問題であると考えています。

もともとは中期財政計画、行財政改革推進プランでの民間委託化で方向性が示されており、これが民間委託化へ踏み切る理由であると考えられますが、市は民間委託の根拠について中期財政計画や行財政改革推進プランには触れず、平成28年3月付の昭島市学校給食運営基本計画であると厚生文教委員会で答弁しました。

しかしながら昭島市学校給食運営基本計画で読みとれるのは民間委託化「も」検討するという文言で、この文章だけを根拠とするには非常にあいまいに書かれており、しっかり「委託をする」と明言されていない文面であるため、市民にそこから市の思いをくみ取れというにはかなり無理があります。

今回は小学校8校の共同給食調理場の大規模な民間委託であり、すでに実施されている自校給食の民間委託の運営がうまくいっているからというだけ(自校給食とは作る食数が全く違います)の理由では納得がいきません。

今まで厚生文教委員会などで全く委託化について中間報告や検証結果を公表することもありませんでした。

市側は補正予算の委員会の中で、検証結果について、メリットデメリットについて一切納得できる答弁をしませんでした。本当に検証がきちんとなされ根拠をもって民間委託へ移行するのであれば説明ができるはずです。本来であれば直営と民間委託を比較して試算結果を公表すべきではないでしょうか。さらにコストが削減されるとしても、メリットデメリットを整理し、削減したコストに見合うかどうかを検討する必要があるのではないでしょうか。検証はされたのかという質問に対し、「デメリットはない」との答弁だけでは、あまりにも不誠実な対応であると思います。

コスト論のみを取り上げ、本来の学校給食の正しい評価をないがしろにしている様に思います。今後、効率化の名のもとに加工食品の増加、カット野菜の使用、そして下処理に時間のかかる地場野菜を受け入れることが困難になるのではないかと懸念をしています。それだけではなく、衛生管理上の問題、洗浄、清掃についてのせっけん使用継続の問題、責任の分散による責任構造の複雑化、あいまいさ、栄養職員の業務の煩雑化、教育への主体的なかかわりの問題、災害時の問題など、まだまだ民間委託化でどのように変わっていくのかなど課題について議論を行うべきであったと思います。

学校給食の要である昭島市学校給食運営審議会では8月と10月に委員構成が一部変更をしています。11月に行われた審議会では、資料は当日配布であったと伺っております。議論されたのはその11月の一回だけと答弁がありましたが、一回で、また新人の委員さんがいる中で説明も十分になくどのような議論ができると言うのでしょうか。これを充分に議論されたとは、あまりにも苦しい言い訳です。

また、給食審議会の議事録や、委員会の答弁では、会計年度職員が辞めてしまう理由について、「重労働」とされていました。その原因がわかっているにも関わらず、それに対策を打とうと努力することしなかった事も問題です。市は、委託にするとそれがすべて解決すると言う様な答弁をしていた事は全く納得できませんでした。むしろ委託にすることで、働く人たちにそれを強いることになるのではないか、官製ワーキングプアを増やすのではと懸念します。

そして何よりサービスを受ける側である子どもたち、保護者の意見を聞くことは大前提です。学校給食はコスト論のみでははかれないメリットがたくさんあります。それらも含めて市民に広く情報を開示し、市民や議会で十分に時間をかけて正しい判断を求めていくことが必要であると考えます。市民への丁寧な説明が全くされていないことは市民不在の市政運営であり、あいまいな答弁や報告を怠ることは議会を軽視しているといわざるを得ません。

もともと立川基地跡地に建てられる予定だった学校給食共同調理場の計画が断念となった段階から、市民を広く募り昭島市の学校給食について一緒に考えていく事が必要だったのだと感じています。私も議員として、もっとチェックを強化して注意深くみておく必要があったのではないかと改めて反省をしておりますが、それにしても、議論が短すぎ、多数決となると、私たちは数の力では負けてしまうので、それ以上の議論をする事はできませんでした。

今回はこの様な理由により、みらいネットワークとして反対をしました。

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