「ひとのま」見学リポート その2
2時間程度の訪問だったが、その間もカフェをやりたいと夢を持っている利用者の方がひとのまでなまけっけカフェを行い、100円でおいしいコーヒーなどを振舞っていた。またあるテーブルではミシンの使い方がわからないおじいさんが若い女性からミシンの使い方を教わっていた。また、ある人は寝ていたし、ある人はずっとおしゃべりをしていた。利用者が自分の使いたいようにその場を使って自由に時間を過ごす暖かい時間が流れていた。また、講座や勉強会なども行える。自分達で企画してやればなにをやっても構わない。政治に関する話し合いなども普通に行われている。この間は座間宮ガレイさんを呼んでお話を聞いたそうだ。普段仲の良い友達同士でも政治の話となるとまるで考え方が違い、議論していることもあるそうだ。でもやっぱり仲がいい。他者を尊重し、認め合える空間が「ひとのま」にはあった。
行政からの支援は受けていない。自分がなぜこの場をやるのか初心を忘れたくないとの事と、めんどくさいからだそうだ。しかし行政はひっきりなしに人を連れてくる。助成を受けられるプランも持ってきてくれるが、ある一部分にしか出ないので、そうすると今の自由な空間のバランスが崩れてしまうと宮田さんは言う。ひも付きでこの支援の為だけに補助金を出すという考え方ではなく、この場所にということだったらありがたくもらうとおっしゃっていた。
核家族化が進み、家と職場や、家と学校以外でのサードプレイスがない、また、ご近所づきあいがなくなった現代において、みんな窮屈で生きづらい。また、学校や職場で関係性を築けなければ、ますます自分の居場所は無くなっていく。そんな時、誰でもどうぞと一軒のお家が解放されている場所があって、そこがみんなの心の支えになり、みんながこの場所を守りたいと自然に思える居場所がそこにあるだけで、案外人間は生きていくことに前向きになれるのかもしれない。
衝撃的なお話だった。こんなところがあるのかと度肝を抜かれた。でも、たしかに「ひとのま」は存在していて、そこにみんなが集っていた。トラブルもたくさんあるそうだ。でも、そこにいる人達で解決する。宮田さんに相談に行っても、「なんで俺が関わらなきゃ行けないの?関係ないよ」と言われてしまうからだ。宮田さんと「ひとのま」に集まる人達との関係もとても不思議なのだけど、なんだかわからない信頼感で繋がっていて、本当に面白い居場所だった。見学もかなりあるそう。でも、みんな報告書や論文にするにもどう書いて良いのか困ると悩みながら帰るらしい。もちろん私も悩んだ。どう書いたらいいんだろうと。そしたらこんなに長くなってしまった。
地域に安心して、自分らしく過ごせる居場所があるといいなと改めて思った。人を尊重して、自分も尊重されて、関係性を築ける場所があることはとても大事なことなんだなと思って、そういう居場所がたくさんできればいいのになと思いながら、あったかい気持ちのまま新幹線に揺られ帰宅した。