国民年金は平成12年から14年まで物価スライド特例措置が取られました。デフレで物価が安くなる中、金融危機や経済対策のため、年金が引き下げられませんでした。デフレがこんなに長い間続くとは思ってもみなかったというところでしょうか。政府の見通しが甘かったと言わざる負えません。
その結果、下げられなかった年金をそのまま支給し続けた(そのあとも引き下げはしてるのですが特例措置が響いていた。それが2.5%分になります。)為、H24年度では7兆円も実際より多く払ってしまっている状況になってしまっています。
そこで、平成23 年2月14 日に、平成23 年度における基礎年金の国庫負担割合を2分の1とするための措置などを講じる「国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案(閣法第22 号)」を提出したわけです。
それには①上限を固定した上での保険料の引上げ、②負担の範囲内で給付水準を自動調整する仕組み(マクロ経済スライド)の導入、③積立金の活用といった見直しとともに、④基礎年金国庫負担割合の2分の1への引上げが盛り込まれました。
その中で特例措置分の2.5%を引き下げすること、またこの法案に反対であるという意見書です。
この陳情をみて、たくさん悩みました。
陳情を出された方のお気持ちは大変良くわかります。
私も、これから年金をもらう父親、母親がいます。
派遣社員でふがいない私を支えてくれていましたし、また祖父、祖母の介護をしてきて大変苦労をしていることも知っています。
その今まで経済を支えてきた団塊世代の方々たちが年金を受け取る側に回るわけです。
自分自身が払ってきたわけですからもらうのは当然のことです。私もそう感じています。
しかし制度自体がもう払った分だけもらえるという構造でなくなっているのです。私の世代は払った分よりマイナスになってしまいます。今回この陳情を受けたことで若い世代に話を聞きました。
今の若者の現状は皆さんおわかりのことと思います。
完全失業率は4.6%、有効求人倍率は0.72%サラリーマンで年収300万以下は42%、年収200万円以下の有期労働者(契約社員や派遣、パート、アルバイトなど)は全体の74%です。
就活がうまくいかず、将来を悲観して自殺する人も増えています。
そのような厳しい状況である若い人たちに話を聞いてみると、国民年金は、もうもらえないものとして諦めてしまっています。若い人たちが年金を払うこと自体、お金がもったいないという認識になってしまっています。
実際、私が生まれた1982年の国民年金の保険料は5220円です。現在はその3倍の値段になっているわけです。
もう制度自体が成り立っていかず、自分はもらえないというあきらめ、仕事に就けない、就けても給料が少ないという中で、保険料だけが大幅に上がり、その負担がとても若い人たちを苦しめています。
そんな中で今回の2.5%の引き下げというわけです。今の若者の状況、65歳以上の高齢者が全体の約4割を占め、一人当たりの高齢者を支える生産年齢人口は1.3人と、このように制度自体が成り立たないこと、特例措置を取ったことでもうすでに7兆円ものお金が出てしまっている。また、国庫負担が3分の1から2分の1になったということからも、2.5%引き下げはやむ負えない、と考えます。これからどうにか持続可能な年金制度になるように切に願います。なので私はこの陳情を不採択としました。