建設環境委員会の陳情結果
6月議会で建設環境委員会で出された陳情についてお伝えします。
建設環境委員会で「脱炭素・脱原発を進め、2030年第6次エネルギー基本計画の改定に対し、再生可能エネルギーの割合を高めるよう意見書の提出を求める」陳情が出されました。委員会では反対多数で不採択となり、本会議では委員長報告(不採択の報告)に自民党、公明党、都民ファースト、立憲民主党、無所属が賛成、共産党とみらいネットワークが反対をし、討論をしました。
委員会の質疑の中では「自然エネルギー60%という目標が現実的でない」との意見が多数ありました。しかし、4月の気候変動サミットでは菅首相が温室効果ガスの削減を50%と挑戦的な目標を掲げています。そのことについて触れる議員もおり、菅首相の判断を支持していました。なぜ、菅首相の目標には賛同でき、市民の目標には賛同できないのでしょうか。何を言うかではなく、誰が言うかで判断しているといういい事例だと感じました。これでは建設的な議論ができるはずもないと思いました。
また、原発に依存している地域は簡単には原発を廃止できないとの声もありました。しかし、茨城県東海村の2011年当時の村長村上達也さんは2011年の夏、「脱原発」の声をいち早くあげました。今年の3月15日のインタビューでは「原発マネーは地域を一時的には豊かにするが住民から自立・自律の芽とプライドを奪い、挙句はコミュニティーを破壊する。多額のマネーと引き換えに魂を売って一炊の夢を見てもひとは豊かになれないどころか故郷すら失いかねない。原発は疫病神だ。」と言い切っています。原発は即刻廃止するべきです。
そして外務省の有識者会合では、エネルギーに関する提言の中で、原発はすでに気候変動の切り札ではない。電力の安定供給のためのベースロード電源として原子力や石炭が必要という考え方はすでに過去のものであり、国際社会は再生可能エネルギーがエネルギー市場の主役に入れ替わっており、石炭火力や原発に頼る考え方こそがビジネス展開の足かせとなり、国際競争力を損なう一因だと提言しています。
そして再生可能エネルギーの技術は日々進歩しています。最近では岡山の中小企業が寿命を迎えた太陽光パネルを約95%の高率でリサイクル可能な処理法を開発し、大きな期待を集めています。今こそ再生可能エネルギーに大きく舵を取るべきなのです。
また、2030年は持続可能な未来を選択できるか、そうでない道を選ぶのかの分岐点です。子どもたちのそのまた子どもたちへ、確かな未来をつないでいくためにこの9年で私たちは全力で環境問題と向き合っていかねばなりません。そこでは、現実的な%の話ではなく、どれだけできるか、どれだけやれるのか私たちはさらに高みを目指さなくてはならないのです。
この陳情を、高い目標設定を次期環境基本計画で掲げる昭島市だからこそ、国へ意見することが必要であると感じました。EUでは再生可能エネルギーの電源目標は65%です。このように小さい議会でもこの陳情が不採択となる現実を見ると、再生可能エネルギーで日本が世界に並べる日が来るのはいつになるのかと暗澹たる気持ちになります。