昭島市物流センター開発 アセスメント条例などの学習会①
7月30日に昭島巨大物流センターを考える会の二回目の学習会に参加しました。
NPO法人地域づくり工房代表の傘木宏夫さんが「アセスメントと地域の力」についてお話してくださいました。
ちょうどこの学習会の前に東京都へ環境アセスについて生活者ネットワークメンバーと林まい子議員とともにヒアリングをしました。
そこで担当課の方がお話されたことは、アセスは事業そのものの是非を問うものではないこと。都民の意見を聴く会というものはあるが、心情ではなく、あくまでも環境影響評価の中で具体的にどこがどのように懸念があるかを伝えなければならないということであり、環境アセスが住民にとって、とてもハードルが高いと実感したところでした。
傘木さんも同じことをおっしゃっており、意見の数の多さが重要なのではなく、しっかりとした事業を行っていくことに困難性があるというデータや根拠が示されていくことによって業者がその示されたハードルの高さによって事業をあきらめる判断をする場合もあるのだとおっしゃっていました。まさに私たちが行わなければならないのは困難性を示すデータと根拠が必要なのだと思いました。
アセスメント(Impact Assessment) とは開発行為の構想、計画、実施の各段階で環境や社会・経済に与える影響を事前に見積もり、適切な配慮(マイナスの影響の回避及びプラス影響の増進)に寄与することです。
この事前配慮を行うことは開発の影響が及ぶ地域社会との十分な情報交流によって担保されます。
日本の法律や条例に基づくアセスメント制度は諸外国に比べて遅れており、制約が多く、環境・経済を総合的に判断するものがないとのことです。その一方、1960年代に西宮市でコンビナート反対の運動から起こった「住民アセス」(開発事業を想定し、住民等が住民参加型の調査学習会を行い、当該事業がもたらす影響と対策等を検討する行為)は世界を先駆け、様々な事業に影響を与えてきています。
まず、私たち住民がどのような影響について心配しているのか、守りたいのか、具体的にデータで示していくことが重要であり、都条例では「配慮書」手続きが公共事業に限定されているため、先手を打ち住民側から「私たちの配慮書・方法書」つくり、事前にどのような影響について心配しているのか明らかにしておくことが必要とおっしゃっていました。
それとともに、現行の制度アセスを最大限に生かし住民の関心ごとに答えてもらう、制度アセスで網羅できない部分を事業者の自主アセスによってしっかり調査するように訴えていく、制度アセスでは網羅できない部分は住民自らが調査し、対策を働きかける、また、都の評価項目に私たちの大きな関心ごとである「交通」、「災害」が設定されていないため、交通では「大気質(大気汚染・騒音・振動等)」に結びつけ想定される交通量・交通流を明らかにさせてそこから渋滞や安全、防災などについての問題を意見し、見解や対策を引き出すこと、災害では降雨強度や調節池の規模、雨水浸透工法などを配慮してもらうよう訴えることが重要であるとおっしゃっていました。
それと同時に住民団体側から「私たちの配慮書・方法書」を市に提出し事前に配慮されるべきことを明らかにしておくことが必要です。
それから事業側が行う自主アセスも大切であり、ISO14063(環境コミュニケーションに関する規格)に準拠してコミュニケーション内容と実施時期、対象者、方法を明らかにさせることや、融資元の金融機関を調べ(環境・社会・ガバナンス)投資の観点からどのようなチェックを行うかを説明させる金融面からの働き替えも重要であるとおっしゃっていました。
こうした対策を行うために住民が自ら調査し学び、学んだことを根拠に訴える取り組みが「地域の力」を育てていくことになるとおっしゃっていました。やはり、何かを動かすのは市民の力であると実感するとともに、普通に暮らしている住民が勉強をして地域を現状と計画による影響を実感していかなくてはならないのだなと感じました。