昭島市物流センター開発 開発地域周辺の水と緑について学習会

今回はまず「昭島市を中心とした地質構造と地下水の動態について」という題で青梅市文化財保護指導員元都立高校教諭の角田清美氏から本当に基本のキのところである部分をお話してくださいました。
昭島市は定期的に地下水位の測定を行っています。その結果や(最新の結果は来年公表予定)角田さんの観測した結果によると、昭島市の地下水は降水量に非常に大きく影響を受けているということでした。そしてこの水は多摩川からの涵養、あきる野、青梅、羽村、かすみ丘陵などから来ていることがわかっており、今回の物流センター建設により、地下水への影響がどのように変わるのかきちんと調査をしなくてはならない。それにはボウリング調査ではそこまで詳細な調査にはならないので、センター建設前に井戸から、地下水面を計測し降水量とどのような関係があるのかをしっかりと調査しなくてはならない、降水量は年々変わるので長期の調査が必要であるとお話してくださいました。
これは非常に大きな問題であると感じました。

次に考える会の共同代表の長谷川博之さん(昭島環境フォーラム代表、多摩川流域市民学会主宰、都立高校生物時間講師)地下水浸透についてお話くださいました。今回長谷川代表自身が様々な試算を出してくださったことに、何としてもこの開発についてどうにかするんだという熱意が感じられ、改めてこういった方が昭島にいることに感謝しました。
昭島市の2021年改定の環境基本計画ではみどり率も緑被率も10年間は維持する方向性になっていますが、長谷川さん自身がGIS(地理情報システム)を活用し試算した結果、3%緑被率が減少するとの結果が出ました。3%といいますが、これを取り戻すことは容易ではありません。環境基本計画の目標値はただのお飾りではないはずです。どういった対策が取られるのか市への追及が必要です。
また、ゴルフ場雑誌からゴルフ場の総面積を調べてくださり、代官山とゴルフ場のCO2吸収能についても試算すると吸収部分がかなり消失することもわかりました。
そして地下水問題についても課題があるとおっしゃっており、雨水の地下への浸透能が減少し、涵養が制限されてしまう。水道水源にもえいきょうが及ぶであろうとおっしゃっていました。地下水への浸透が阻まれた雨水は地表水となり路面や窪地に溜まり、アンダーパスの大雨冠水の被害がさらに増える可能性や内水氾濫を起こす危険性が高まることもお話してくださいました。
また、井戸をくみ上げる可能性や、データセンターの冷却水が下水処理に悪影響がないのかという点も確認しなければならないことも伝えてくださいました。
そして水収支の部分では、平成13年の昭島市の水収支からみると降水量7.3万トンのうち、2.1万トンが涵養されていることになり、ゴルフ場が消失することで、一時間当たり0.16万トンが涵養されなくなるのではないかというお話もされていました。非常に大きな問題です。

ただ、開発をしたい、土地があるのでどうぞでは済まされない大きな問題がいくつも立ちはだかっていることを自分が実感するとともに、この解決に向けてしっかり市と住民、事業者と住民が話し合っていく必要があると改めて感じました。

昭島市民でもまだまだ情報を知っている方が少ないと感じるので、引き続き私たちも情報共有をしていきたいと思います。